


高校には、学習する時間や修業年限などの違いによって、全日制課程、定時制課程、通信制課程の3種類の課程があります。それぞれの特色は次の通りです。
全日制課程
授業は平日の午前から始まり昼間に行われます。卒業までの修業年限は3年です。高校の多くが、この全日制課程です。
定時制課程
もともと、昼間は働いて夜でなければ学校に通えない生徒のための課程です。しかし、最近では、そうした生徒は少ないのが現状です。そのため個人の生活スタイルや学習の ペースに合わせて授業を受けられるように、午前、午後、夜間と三部制で授業を行う昼夜間定時制の学校や、昼間に授業を行う昼間定時制の学校なども増えてきています。通常、これら定時制課程の卒業に要する修業年限は4年以上ですが、昼夜間定時制の学校などで、1日に学ぶ科目を増やせば3年間で卒業することも可能です。
通信制課程
自宅で勉強をして決められた回数分のレポートを提出し、合格することで単位を修得する課程です。学習についての質問や指導を受けるためや、体育など学校に行かなければ受けられない授業のためなどで、月に2〜4回程度は登校します。通常、卒業に要する修業年限は4年以上ですが、3年間で卒業できる場合もあります。
単位制の学校の説明の前に、まず単位について説明しましょう。単位とは、学習する授業の量を表す言葉です。一般に、50分の授業を週1回、1年間学習して試験などで合格点を取って修得すると「1単位」となります。週に2回ある授業を1年間学習すると、「2単位」となります。
単位制の学校では、学校によって定められた単位数を修得すれば卒業ができます。入学年度による年次の別はありますが、学年の別がないため、同じ授業を違う年次の生徒と受けることもあります。単位を積み重ねて卒業を目指すというシステムなので、留年という概念はありません。しかし、必要単位数を取れなければ、3年間では卒業できなくなるので注意が必要です。
一方、単位制と対をなす制度が、なじみのある小学校や中学校のような、学年制です。学年制では、学年ごとで定められた単位数を修得しなければ留年となります。
単位制の学校では必修科目以外に多くの選択科目が用意されており、生徒はそのなかから自分の学習計画や目標とする進路に応じて、自分だけの時間割を作成します。一方、学年制では、選択科目はあるものの、時間割のほとんどは学年別に学校が定めています。
高校の学科には、大別して普通科、工業科・商業科などの専門学科、総合学科があります。
普通科
普通教育を主とする学科で、「国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、保健体育、芸術、家庭、情報」などの教科・科目を中心に学びます。理数コースや外国語コースといった具合に、ある教科・科目を重点的に学べるコース制を設けている学校もあります。
専門学科
専門教育を主とする学科で、国語や数学、英語などの教科・科目に加えて、農業や工業、商業、産業、音楽、美術、体育などの専門知識や技術、技能を身に付けます。工業高校や商業高校などに設置された学科が代表的です。高校卒業後は就職というイメージが強いのですが、最近では、大学や短大に専門学科卒業生を受け入れるための枠を用意しているところも増え、進学率も上昇しています。
総合学科
普通科と専門学科の垣根を取り払い、双方で学ぶ内容が学習できる学科です。
「国語や数学、英語だけではなく、商業や工業、コンピュータなどの専門科目も勉強した い」「まだ、将来の進路を決めていないので高校で勉強しながらじっくり進路を決めたい」といった人にぴったりの学科でしょう。自分の将来の目標とする進路や興味関心に応じて、数多く用意されている選択科目のなかから学びたい科目を選び、自分だけの時間割を作ります。こうした特徴のため、原則、単位制となっています。
数多く用意された選択科目は、体系性や専門性などによって関連ある科目でまとめられています。そのまとまりを「系列」と言います。たとえば、「国際・コミュニケーション系列」「情報・メディア系列」「生命・自然系列」「ビジネス系列」といった具合です。この「系列」の分類に学校の特色が表れます。
先述の専門学科では、たとえば工業高校の機械科に入学すると、商業に関する勉強をしたくても実現が難しいのが一般です。しかし、総合学科では、興味のある複数の系列から、たとえば、工業に関する科目と商業に関する科目を同時に履修できる点が特色です。
1年次はほとんどが必修科目ですが、「産業社会と人間」という科目を履修するのが総合学科の特色です。これは、自分はどんな人間なのか、職業とは何か、将来どんな職業に就きたいのか、高校卒業後にはどんな進路があるのか、そのためにはどんな勉強をすればいいのか、といった自分の生き方について考える授業です。この授業を履修したうえで、2年次からは、さまざまな選択科目から自分だけの時間割を作成していくことになります。

中高一貫教育校とは、中高6年間をかけてじっくり学ぶことを目的とした学校です。私立学校では多く見られるスタイルですが、近年公立学校でも設置が相次ぎ、東京都には、2011年度現在17校(区立、連携型含む)あります。
タイプは次の3通りがあります。
中等教育学校… ひとつの学校として、6年間を通じて一貫教育を行う学校。中・高にあたる3年ずつを前期・後期とするので、高校での生徒募集はありません。
併設型… 中高が接続されてはいますが、組織としては別々になっている形態。併設の中学校からは、入学試験なしで併設の高校に進学できます。高校での生徒募集もあります。(白鴎高校、両国高校、富士高校、大泉高校、南多摩高校、武蔵高校、三鷹高校、大原高校、相模大野高校、伊奈学園高校、さいたま市立浦和高校、千葉高校、千葉市立稲毛高校)
連携型…中学校と高校が、教員や生徒の交流、教育課程の編成などで連携している形態。
※皆さんにとっては、高校募集があるという観点からすると、
のタイプが要チェック校となります。
東京、神奈川、埼玉、千葉の各都県では、魅力ある公立高校を目指してさまざまな改革に取り組んでいます。昼夜間定時制課程の学校、単位制の学校、総合学科設置校、中高一貫教育校などが次々と誕生しています。ここでは、これまでに触れられていないキーワードを用いた学校について都県別に概要を説明しましょう。
東京都
進学指導重点校 … 難関大学を目指す学校として、7時限目に授業があったり土曜日にも講義があったりするカリキュラム編成の普通科高校です。(日比谷高校、戸山高校、青山高校、西高校、八王子東高校、立川高校、国立高校) ほかに大学進学を意識する学校としては、難関大学を中心に進学実績の向上を目指す「進学指導特別推進校」(小山台高校、駒場高校、新宿高校、町田高校、国分寺高校)もあります。同様の取り組みをしている「進学重視型単位制高校(墨田川高校、国分寺高校、新宿高校」や「進学型専門高校」もあります。
エンカレッジスクール … エンカレッジとは「励ます」「力づける」という意味です。学力検査による選考はなく、30分授業や少人数制授業、豊富な体験学習などによって生徒のやる気を育てる全日制の学年制の学校です。(足立東高校、秋留台高校、蒲田高校、練馬工業高校、東村山高校)
チャレンジスクール … 小・中学校で不登校だった生徒や高校中退者などが、自分の目標に向けてチャレンジしていくことを支援する昼夜間定時制の単位制総合学科の高校です。(大江戸高校、世田谷泉高校、桐ヶ丘高校、六本木高校、稔ヶ丘高校)
東京版デュアルシステム…在学中に企業で一定期間の就業訓練を行い、技術・技能を身に付ける学校です。企業での就業は実習の授業として単位認定されます。昼間定時制の単位制高校で、3年間で卒業することもできます。(六郷工科高等学校 ※平成23年度から葛西工業高等学校、多摩工業高等学校、平成24年度から北豊島工業高等学校、田無工業高等学校が導入実施予定)
産業技術高等専門学校 … 2006年度4月に新たに設立された高等教育機関です。従来あった工業高等専門学校と航空工業高等専門学校が統合されてできた新しい学校です。5年間の本科を修了したあと2年間の専攻科に進学し、さらには、首都大学東京が設立した産業技術大学院大学に進むことも視野に入れられる仕組みになっています。もちろん、本科を修了して就職することも、全国の大学への編入学を目指すこともできます。なお、2008年度から運営が首都大学東京に移管されました。
神奈川県
クリエイティブスクール … 学力検査によらない面接などによる選考が行われます。これまで持てる力を十分発揮しきれなかった生徒に対して、少人数授業や体験活動などによって、きめ細かい教育を行っていく全日制の学年制普通科の学校です。(大楠高校、釜利谷高校、田奈高校)
フレキシブルスクール … 幅広い時間帯から自分の生活スタイルに応じて、自分なりの時間割を自分で作成して学ぶ単位制の学校です。全日制の場合は午前と午後、定時制の場合は午後と夜間から授業を選択します。全日制と定時制が併設されている場合は、一定の範囲内で、もう一方の課程の授業を履修することもできます。(横浜桜陽高校、厚木清南高校、川崎高校)
埼玉県
パレットスクール … 昼夜開講、単位制の定時制高校の通称です。生徒は、自分の生活スタイルに応じて、午前部、午後部、夜間部のいずれかで学び単位を修得します。他部履修を利用して、授業の数を増やして単位を取っていけば3年間で卒業することも可能です。(戸田翔陽高校、狭山緑陽高校、吹上秋桜高校)
千葉県
首都圏4都県で、唯一学区制が残っています。単位制高校や総合学科の設置、女子校の共学化、高校の統合などの再編計画が進行中です。注目度の高い中高一貫教育校については、2007年度4月に千葉市立稲毛高校が併設型の中高一貫教育校となり、2008年度には県立千葉高校も併設型の中高一貫教育校となりました。
※これら以外にも、たとえば都立高校では「重点支援校」として特色ある教育を目指す学校もあります。くわしくは、学校の先生に相談するか、教育委員会のホームページを参照してみてください。また、実際の学校の雰囲気や様子を知るためにも、学校説明会や体験入学に参加することをお勧めします。
